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居酒屋の利益率

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業界平均値の分布 (視覚化)

最小 (min) 〜 最大 (max) のレンジと、業界平均 (avg) の位置を視覚的に確認できます。自店の数値が「業界平均より高いか低いか」を直感的に把握する目安として活用してください。

営業利益率
5% 平均 15% 25%
FL比率
55% 平均 60% 70%
原価率
25% 平均 30% 35%
人件費率
25% 平均 30% 35%

居酒屋業界の営業利益率は 5-25%(平均15%)。本ページでは利益率を決める3要素(FL比率・家賃比率・客単価×回転率)を解説し、現場で使える改善の打ち手をまとめます。

業界平均の利益率 (個店ベース)

指標最小平均最大
営業利益率5%15%25%
FL比率(食材+人件)55%60%70%
原価率25%30%35%
人件費比率25%30%35%

上場大手居酒屋企業の経常利益率実績

個店経営の標準値に加えて、業界全体のスケール感を把握するため、上場居酒屋業界の最新有価証券報告書 (EDINET公表) から経常利益率を抽出しました。中央値で 6.3%、ROE中央値 15.5% です。

企業連結売上経常利益率ROE決算期
ヨシックスホールディングス (3221) 229億円 11.2% 16.5% 2025-03
DDグループ (3073) 386億円 9.3% - 2025-02
エターナルホスピタリティグループ (3193) 464億円 6.7% 18.6% 2025-07
ワタミ (7522) 887億円 5.9% 14.5% 2025-03
大庄 (9979) 526億円 2.3% 10.8% 2025-08
コロワイド (7616) 2,692億円 1.8% - 2025-03

※ 出典: EDINET (金融庁公表 有価証券報告書) 最新期。IFRS適用企業は「税引前利益」を経常利益相当として扱っています。飲食上場企業ランキング で全業態の集計を確認できます。

居酒屋の利益構造

居酒屋の利益式は 売上 - 食材費 - 人件費 - 家賃 - 水光熱費 - その他経費。立地は駅前・繁華街・オフィス街が主軸で、オフィス街は土日の売上が落ちやすく、繁華街は月曜が弱い。立地ごとの曜日売上波形を見極めるという特性があります。居酒屋業界の FL比率平均60%、人件費比率平均30%、原価率平均30%が黒字化の目安となります。

試算で見る 居酒屋 の利益構造

30坪・40・客単価3,500円・回転率1.8回・営業25日のケース

月商630万円
FL費(食材+人件)378万円
家賃50万円
水光熱20万円
その他経費30万円
営業利益152万円(24%)

居酒屋の利益は、ドリンク比率で大きく変わる

飲食店全体の営業利益率の業界平均が8.6%とされるなか、居酒屋は原価率30%・営業利益率15%と、利益を出しやすい部類の業態です。その源泉は、高粗利のアルコールにあります。フードの原価率は30〜35%と決して低くありませんが、ドリンク、とくにサワーやハイボールは原価率が低く、これがフードの高い原価を打ち消して、全体の原価率を30%前後に抑えます。つまり、飲む客が多い店ほど原価率が下がり、利益が残る。居酒屋の利益は、どれだけドリンクを飲んでもらえるかで大きく変わります。

売上100円は、こう使われる(居酒屋の目安)
  • 原価 30円
  • 人件費 30円
  • 家賃・その他 25円
  • 営業利益 15円

飲食のなかでは利益が残りやすい構造です。支えているのは、原価率の低いドリンクの粗利です。

ドリンク別に、原価はこれだけ違う

利益設計の核は、原価の低いドリンクと原価の高いフードをどう組み合わせるかです。ドリンクのなかでも差は大きく、ウーロンハイやサワーは原価率が1〜2割と最も低く、生ビールは2〜3割、日本酒やワインは3〜5割とやや高めです。フードは全体に3割前後かかります。原価の低いドリンクを主軸にし、こだわりの酒や看板料理と組み合わせて、店全体の原価率を狙った水準に収めるのが居酒屋のメニュー設計です。

メニュー原価率の目安役割
ウーロンハイ・サワー約10〜20%最も利益が残る。おかわりで効く「稼ぐ一杯」
ソフトドリンク約10〜15%低原価。飲まない客の単価も底上げする
生ビール約25〜30%定番で注文が多く、最初の一杯になる
日本酒・ワイン約30〜50%こだわりで語れるが利幅は薄い「語る一杯」
フード(つまみ・一品)約30〜35%来店の目的になり、飲みを進める。原価は重い

ポイントは、ドリンクを「稼ぐ一杯」と「語る一杯」に分けて考えることです。ウーロンハイやサワーのような原価の低い定番で利益を稼ぎ、こだわりの日本酒やワインで店の個性を出す。この役割分担ができると、原価率を抑えながら「あの店ならではの一杯」も両立できます。

自店のメニューを、出数×原価率で診断する

利益設計を感覚でなく数字で回すには、よく出るメニューの上位20品ほどを、注文の多い順(出数)と原価率の両方で書き出してみるのが有効です。すると、どのメニューが利益を生み、どこに手を入れるべきかが一目で分かります。

出数×原価率見方打ち手
出数が多い×原価率が低い利益の柱。稼ぎ頭切らさない。おすすめの一等地に置く
出数が多い×原価率が高い人気だが利益を削っている価格・分量・付け合わせを見直す
出数が少ない×原価率が低い隠れた優等生見せ方や提案で出数を増やす
出数が少ない×原価率が高いロスの温床メニューから外す候補

とくにドリンクは、原価率を少し低めに設定しておかわりしてもらうほうが、1杯の利幅を欲張るより結果的に利益が積み上がります。出数の多い定番ドリンクほど、この「おかわりで稼ぐ」発想が効きます。

だから、「飲んでもらう」設計が利益を生む

居酒屋の利益改善は、原価を削るより「もう一杯」を自然に生む設計が効きます。最初の一杯を早く出す、飲みやすいドリンクをそろえる、味の濃いつまみや揚げ物で飲みを進める、コースや飲み放題で単価と原価を読める形にする。こうした「飲んでもらう」流れをつくれると、客単価3,500円が伸び、原価率も下がって、利益が二重に改善します。逆に、飲まずに食事だけで帰られると、フードの高い原価だけが残ってしまいます。

低回転でも、滞在単価と宴会で稼ぐ

居酒屋は回転1.8回ほどの滞在型で、席が何度も回る業態ではありません。そのぶん、1組が滞在するあいだにどれだけ飲んで食べてもらうか、という滞在単価で稼ぎます。さらに、歓送迎会や忘年会などの宴会・団体は、席あたりの売上がまとまり、コースで原価も読めるため、居酒屋の利益を大きく左右します。低回転を、滞在単価と宴会予約でどう埋めるかが、席稼働の設計になります。

利益率が崩れる前に見る、居酒屋の警告ライン

月次決算で気づく前に、日次で追える指標の警告ラインを決めておくと、打ち手が早くなります。とくにドリンク比率は、居酒屋の利益に直結する指標です。

指標目標警告ライン割ったときの打ち手
客単価 3,500円 2,800円未満 メニュー単価の見直し・小皿セットの追加でクロスセル強化
回転率 1.8回/日 1.2回未満 ピーク帯のオペレーション短縮・予約導入で席稼働率向上
FL比率 60% 65%超 人件費 or 食材費の構成比を分解、シフト最適化と仕入れ交渉
原価率 30% 35%超 ロス率モニタリング、メニュー別原価チェック
人件費率 30% 35%超 社員/アルバイト比率の見直し、ピーク以外の時短
常連リピート率 35% 20%未満 接客方針・常連識別の仕組みを再設計

自店の席数・客単価・回転を入れて営業利益を試すなら 開業収支シミュレーター で確認できます。

居酒屋の利益率を上げる4つの打ち手

  • ドリンク比率を上げる:最初の一杯を早く、飲みやすいドリンクをそろえ、飲みを進めるつまみを用意します。原価率30%を下げる最大のレバーです。
  • 高原価と低原価を組む:原価の低いサワー類を主軸に、看板フードと組み合わせて全体の原価率を管理します(客単価は居酒屋の客単価)。
  • 宴会・団体を取る:コースや飲み放題で、席あたりの売上と原価を読める形にします。
  • 滞在単価を上げる:締めの一品や追加の一杯を自然に促し、1組あたりの飲食を積みます。

居酒屋の利益率を伸ばした成功事例

居酒屋業界の現場で利益率改善に成功した3つのパターンです。シナリオ・伸びた要因・再現条件を併載しているため、自店との適合性を判断できます。

差別化メニュー戦略:地酒特化で客単価+1,500円

シナリオ30坪・席数40で開業時は客単価3,500円・回転率1.8回・月商630万円。3ヶ月目から日本酒メニューを30銘柄まで拡充し産地別カードを設計、客単価が5,000円に上昇。回転率は1.5回に低下したが月商は700万円超となり、FL比率は58%(原価率上昇を人件費比率の抑制でカバー)に維持できた。

伸びた要因客単価上昇による売上構成の高単価化と、それを支える商品力(差別化要素)の確立

再現条件立地が住宅街以外(駅前・繁華街)で、半径500mの同業態と客単価帯がかぶる場合に有効。差別化メニューの選定はオーナーの専門性・調達ルートが必要になる。

常連獲得の徹底:開業3ヶ月で固定客10名から紹介の連鎖を作る

シナリオ20坪・席数25で開業、客単価3,000円・回転率2.0回・月商375万円。オーナーが顔と名前を覚える接客を徹底し、3ヶ月時点で固定客10名(月4回以上来店)を獲得。固定客が口コミで5名ずつ連れてくる行動が発生し、半年後の月商520万円・回転率2.5回に到達した。固定客のLTV(生涯顧客価値)は客単価×年48回で約14万円、新規獲得コストは事実上ゼロとなった。

伸びた要因固定客の獲得から紹介への循環構造を、オーナーの接客で作る再現性の高いオペレーション

再現条件オーナーが現場に立ち続けることが必須条件。20-30坪規模の小型店で、商圏500m以内の住宅・オフィス比率が安定している立地で再現性が高い。

夜帯の単価設計:小皿戦略で深夜帯の客単価+1,200円

シナリオ繁華街25坪・席数35で開業、客単価3,800円・回転率1.5回・月商475万円。22-25時の時間帯メニューを見直し、500-800円の小皿8品を追加。深夜帯の客単価が4,800円から6,000円へ+1,200円上昇し、月商630万円・営業利益率18%へ改善した。深夜帯は人件費を絞れる時間帯のため利益率改善への寄与が大きい。

伸びた要因深夜帯の追加注文を促す価格帯設計と、その時間帯の客動線(2軒目・3軒目利用)への適応

再現条件繁華街・夜帯営業が可能な立地が前提です。住宅街は深夜帯の動員が難しいため適用外です。

居酒屋で利益率を落とす典型パターン

居酒屋業界で利益率を毀損する3つの失敗パターンです。事前に把握しておくことで予防策を打てます。

立地ミスマッチ:駅前繁華街での競合密集による集客不足

シナリオ30坪・席数40・客単価3,500円・回転率1.8回・営業日数25日で月商630万円を計画。半径500m圏に類似業態15店が密集しており、平均客数が想定の60%。実績は月商380万円、FL費270万円・家賃50万円・水光熱20万円・その他30万円で営業利益10万円と、計画から大幅未達となった。

警告サイン開業3ヶ月時点で月商計画の70%未満、6ヶ月時点で80%未満が3ヶ月連続

予防策出店前に半径500mの同業態店舗数を実地で数える。10店を超えるなら客単価帯を1,000円以上ずらすか、産地直送・希少酒等の特化メニューで客層を分ける設計に切り替える。

FL比率高騰:人手不足によるシフト過多と原価管理の崩壊

シナリオ開業時FL比率60%(食材30%+人件30%)で計画。半年後にホール人材の離職が続き、アルバイト時給を1,500円(平均の1.2倍)に引き上げてカバー、人件費比率が38%に上昇。同時期に食材の原価高騰で食材費34%、合計FL72%。月商600万円を維持しても営業利益が-50万円となった。

警告サインFL比率が68%以上で3ヶ月連続

予防策開業計画書に人件費の上振れ余裕(計画+5%)を織り込む。仕込みの内製化率を事前設計して繁忙期のアルバイト依存度を下げる。月次でFL比率をモニタリングし、65%超で原因分析(時間外手当・原価率・客単価のどれが効いているか)を実施する。

客層と価格帯のミスマッチ:高単価設計が住宅街で機能しない

シナリオ住宅街20坪・席数28、客単価4,000円・回転率1.5回想定で月商420万円計画。実態は近隣の所得水準と居酒屋利用シーンが合わず、客単価2,500円・回転率1.3回・客数+15%で月商328万円。原価率35%(食材を高めに維持)で営業利益-30万円となった。

警告サイン実績客単価が想定客単価の80%未満で2ヶ月連続

予防策出店候補地の半径500m内で、既存居酒屋20店の客単価帯(食べログ等)と国勢調査の世帯年収を事前確認する。住宅街は客単価3,000円帯、繁華街は4,000-5,000円帯という棲み分けを意識して価格帯を設計する。

監修者の現場コメント

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最終確認日: 2026-05-15