FC vs 個人開業 5年累計収支シミュレーション
「FCの方が儲かるのか、個人開業の方が儲かるのか」は飲食店開業の永遠の論点です。本ページでは13業態の業界平均値に、FC加盟金+研修費500万円・ロイヤリティ売上の5%・初年度の売上立ち上がり優位性15%という標準的な前提を入れて、5年間の累計収支を試算しました。実際は業態のFC本部選定で大きく変わりますが、構造的にどちらが有利になるかの目安として活用してください。
シミュレーションの前提
- 初期投資(個人): 業態別の業界平均(業態別 開業資金ランキング 参照)
- 初期投資(FC): 業態別投資+加盟金・研修費 500万円
- 年間売上: 坪月商 × 30坪 × 12ヶ月
- 営業利益率: 業態別の業界平均
- ロイヤリティ(FCのみ): 売上の5%(業界平均値、ブランドにより1〜10%幅あり)
- 立ち上がり係数: 1年目 個人 70%・FC 100%(FCはマニュアル/SVサポート/ブランド認知で立ち上がり優位)、2年目 95%、3年目以降 100%
注: 上記はあくまでモデル前提です。実際のFC本部の条件・経営者の力量・立地次第で結果は大きく振れます。
業態別の5年累計収支比較
| 業態 | 個人 5年累計 | FC 5年累計 | 差額(FC−個人) | 有利な選択 |
|---|---|---|---|---|
| イタリアン | 2,185万円 | -272.5万円 | -2,457.5万円 | 個人有利 |
| カフェ | 1,308.8万円 | -398.1万円 | -1,706.9万円 | 個人有利 |
| テイクアウト・弁当 | 4,724.64万円 | 2,092.72万円 | -2,631.92万円 | 個人有利 |
| バー | 3,522万円 | 1,118.5万円 | -2,403.5万円 | 個人有利 |
| フレンチ | 249.76万円 | -2,859.52万円 | -3,109.28万円 | 個人有利 |
| ラーメン | 5,196万円 | 1,564万円 | -3,632万円 | 個人有利 |
| 喫茶店 | 1,040.96万円 | -505.02万円 | -1,545.98万円 | 個人有利 |
| 居酒屋 | 5,830.8万円 | 3,289.6万円 | -2,541.2万円 | 個人有利 |
| 寿司 | 1,101.3万円 | -2,252.6万円 | -3,353.9万円 | 個人有利 |
| 焼肉 | 3,861.2万円 | 385.8万円 | -3,475.4万円 | 個人有利 |
| 中華料理 | 2,482.8万円 | 260.2万円 | -2,222.6万円 | 個人有利 |
| 定食屋 | 3,285.44万円 | 210.72万円 | -3,074.72万円 | 個人有利 |
| 唐揚げ専門店 | 4,422万円 | 2,018.5万円 | -2,403.5万円 | 個人有利 |
数値は「営業利益累計−初期投資」の正味手取り。マイナスは投資未回収を意味する。
FCが有利になる業態の特徴
シミュレーションでFC有利になる業態の共通点は、以下のいずれかに該当します。
- 立ち上がり期間が成果に直結する業態: ラーメン・唐揚げ専門店のような客数勝負の業態は、立ち上がりの早さで初年度の利益が大きく変わります。FCのブランド認知と運営マニュアルが効きます
- 商品・オペレーションの標準化が利益に直結する業態: 牛丼・カレー・ラーメンのチェーン化が成功する理由は、標準化が利益率向上に直結するため
- 仕入規模で原価が下がる業態: FC本部の集中購買による仕入コスト圧縮効果は、原価率の高い業態(焼肉・寿司)で特に効きます
個人開業が有利になる業態の特徴
- 高単価業態(フレンチ・寿司): 高単価業態は「料理人の腕・店主のキャラクター」が価値の中核。FC化のメリットが薄く、ロイヤリティ5%が利益率を圧迫します
- 独自性が価値の中核となる業態: カフェ・バーは差別化が顧客獲得力に直結し、FC化で個性を消すと逆効果になりやすい
- 営業利益率が標準的な業態: ロイヤリティ5%控除後の営業利益が薄くなりすぎる業態は、個人開業の方がキャッシュ残高が伸びます
FC選定の3つの判断軸
FC加盟を検討する場合、以下の3軸で本部を比較してください。
- ロイヤリティ体系: 売上連動(3〜10%)か固定額か。売上が伸びるほど売上連動の負担が大きくなる。固定額の方が伸びしろがあるオーナーには有利
- 初期投資の総額: 加盟金・保証金・研修費・内装指定の総額が業界平均(500万円)より大きく超える本部は要警戒。物件を本部に紹介依存する条件は退店リスクが高い
- SV体制と既存店業績の透明性: SV(スーパーバイザー)の訪問頻度・既存店業績の開示・撤退店の比率を確認。撤退率が高い本部は店舗運営支援の質に問題がある可能性
本シミュレーションの限界
このシミュレーションは構造的傾向を見るためのモデルで、以下の現実要素は反映していません。
- 立地・商圏密度の影響(同じ業態でも立地で月商が2倍以上振れる)
- FC本部固有のサポート品質(同じ業態でもA本部とB本部で結果が大きく違う)
- 経営者の経験・人脈(飲食業界経験者と未経験者で初年度の立ち上がりが違う)
- 退店時のコスト(FCは契約期間内の退店ペナルティがある場合多)
- 追加投資(リニューアル・設備更新・ブランド変更時の費用)
実際のFC加盟検討では、本部の開示資料・既存加盟店オーナーへのヒアリング・契約書の精査が不可欠です。
監修者コメント
FC vs 個人開業の議論は「平均値の比較」では結論が出ません。私が支援するときに必ず確認するのは、加盟検討先の既存店3〜5店舗を実際に訪問させてもらうことです。本部資料の数字と、現場のオーナーから聞く実態は乖離があるケースが多いです。特にロイヤリティ売上連動の本部は、月商が伸び悩むと固定費負担が重くのしかかります。シミュレーションの数字を起点に、自分の業態・経験・立地に合うかを判断してください。「未経験でラーメン・牛丼系に挑戦するならFC、料理経験ありで高単価業態を狙うなら個人」という大まかな方向は本コラムから読み取れます。
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最終確認日: 2026-04-30